今日彼女が遊びに来るのにすごい勢いで生えているので
どうしようかと考える暇のない内に彼女がやってきた。
「わー部屋に入るの初めて。ドキドキするぅ」
と言われたのでこりゃいかんと思って
風呂場の蛇口を力いっぱいにひねった。
瞬く間に部屋は水没し、思惑通りきのこは水の底に沈んだ。
「多少浸水しているけど、さあどうぞ」
彼女はひきつったような笑顔を浮かべたが僕の手をとると
ゆっくりと中へ。
「おなかすいたよね、何か作るよ」
と冷蔵庫を開くと黒く縮み上がったねぎやにら、固まりつくしたみかん
いろんな草、現代人間の不信感、そしてなぜか聖闘士星矢のフィギュア
が出てきた。
「これじゃあ何にも作れないよね」
呆然と立ちすくむ彼女の向こうの浴槽から滝のような轟音が聞こえてくる。あっ出しっぱなしだ
「いいよ、あたし作っとくから出てなよ」
なんとよくできた彼女だと痛み入りながらパチンコに出かけた俺。
ほどほどに負けて、チョコーレート菓子をかじりながら帰ると
「えっ?これ誰の部屋だよ。相撲部屋じゃないことは確かだがな!」
というくらい部屋は整頓されていて、小さなちゃぶ台の上には晩飯が用意されていた。
ちょこんと正座し、はにかむ彼女。
俺は幸せの絶頂をかみしめ、晩飯もかみしめることにした。
すると
目に飛び込んできたのは見事なきのこづくし。
きのこご飯、きのこの味噌汁、きのこの炒め物、きのこの漬物、きのこのプライド、きのこの不信感…
「さ、召し上がれなされよ」
そのときの彼女の笑顔に俺は、殺意と悪意と純粋な善意を見た。
あと、なんかエジプトみたいな化粧してんなーと思った。
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